NIKKOは、国内外のデザイナーと陶磁器の開発を行い、国内・世界へ発信しています。
陶芸家・會田雄亮(あいだ ゆうすけ)によって1960-1970年頃にデザインされた『オーバルホワイト』シリーズはテーブルトップを効率よく利用できるオーバルをコンセプトとしたシリーズで、やわらかなフォルムの中にも、機能性と美しさを持たせた器です。
まだNIKKOが日本硬質陶器という社名だった時代から硬質陶器素材を使用し、海外向け輸出用として製造していました。その後、日本の家庭でも使いやすいサイズに調整し、国内向けにも展開しました。
デザインが暮らしの中で華やかに取り入れられたミッドセンチュリー期を象徴するのびやかな造形が特徴的なシリーズです。
この度、『オーバルホワイト』シリーズをNIKKO FINE BONE CHINA(ニッコーファインボーンチャイナ)の素材に変え、伝統を受け継ぎながら現代のライフスタイルに寄り添う「會田雄亮 Oval White」シリーズとして復刻しました。
食器から環境造形作品まで手掛けた會田雄亮
會田雄亮は陶芸技法のなかでも非常に難しい「練上(練り込み)」という技法で作り上げる作品で日本を代表する陶芸作家です。
「練上」は、2種類以上の色土を重ね合わせ、断面に出来る模様をそのまま器に形成する技法です。
くみ上げた模様を崩さないように成形する難しさ、乾燥・焼成中に切れを起こしやすい性質から細心の注意が必要とされます。また、色土の重ね合わせによってできる色調は、絵付けとは異なる独特な風合いです。
さらに會田雄亮は、京王プラザホテルの陶壁「陶と水と庭」や、山形駅西 霞城セントラル広場モニュメント 「虹の防人」などの数多くの環境造形も手がけました。練り込みの技法にこだわりつつ、常に陶土の可塑性を追求しテーブルの世界から人間の生活空間へ焼き物の領域を広げ、従来の陶芸の範疇におさまらない作品を残しています。
『オーバルホワイト』シリーズがNIKKOで製造されるきっかけについて当時の詳しい記録は残っていませんが、デザインがされた当時、會田雄亮はアメリカに渡りボストン美術館付属美術学校講師、ベニントン・ポッタリー社でチーフデザイナーを務めていました。
自然と対話するようなゆるやかな美しいラインを再現
會田雄亮の工房「忍野窯」には、ポットやプレートの原型が残っています。
モックとして石膏などで何度も型をつくり、実際にラインや形状を確かめながらひとつひとつデザインを起こしていったといわれており、当時の試作の数々を見ると、実際に手を動かして石膏を削り、カーブやエッジの厚みなど点検していたことが伺えます。
そのようなデザインプロセスを経て生まれた自然と対話するようなゆるやかな美しいラインを再現するために、「會田雄亮 Oval White」シリーズは石膏の鋳型で成形する「鋳込み」製法ですべてのアイテムを製造しています。
商品一覧
シュガー(140cc)
クリーマー(130cc)
カップ&ソーサー
ポット(700cc)
會田雄亮氏の「忍野窯」を、LOST AND FOUNDのセレクター小林和人氏と取材した記事がLOST AND FOUND ECサイト(外部サイトへ)にて公開中です。あわせてご覧ください。