柳宗理の初期の代表作『松村硬質陶器N型シリーズ』は、戦後のグッドデザイン運動(商品の品質向上を目指し、合わせて近代的な生活を実現しようという運動)の隆盛にのって広く流通しました。
『松村硬質陶器シリーズ』が発表された当時の国内市場は模様付きの陶器が一般的で、「無地の陶器は半製品」と言われなかなか理解がされない中、銀座の喫茶店で使用されるようになると、少しずつ広まりをみせていったといわれています。
そして、戦争により日本のものづくりが大きな打撃を受け、大量生産の製品に対し日本でも徐々にデザイン振興の機運が高まる中、松村硬質硬質陶器の『N型シリーズ』が発表され、様々な雑誌や新聞で取り上げられ、人気を博すこととなっていきました。
その後、1982年に同社が企業吸収合併による廃業のため廃番となっていましたが、1990年に当時の西武百貨店のプライベートブランド・JC「Japan Creative」より、透明感のある美しさと強度を備えたボーンチャイナに素材を変えて復刻、NIKKOはその製造を担うことになりました。さらに販売がJCから佐藤商事と柳ショップに変わった後も、戦後日本を代表するテーブルウェアとして今に続くまで愛されています。
NIKKOは2021年より柳デザインとの間で新たに製造販売契約を結び、この「柳宗理ボーンチャイナシリーズ」の販売を開始いたしました。
2024年、そのN型シリーズのアーカイブから新たに、デザインのディテールにこだわり抜いて、プラター 32cm・サラダボール 13cm・23cmの3アイテムを追加で復刻いたしました。
柳宗理のものづくり
柳宗理のものづくりは、使い手の視点に立ち、手で模型をつくり、試作品をつくり、実際に使い調整を繰り返す、 といった試しながら考えるデザイン手法でつくられています。
そうしたプロセスを経て完成された柳宗理のプロダクトは、使う人の手になじみやすく、長く使えるものになっています。
写真は、1956年に柳宗理がデザインしたバタフライスツール(天童木工)。
柳宗理 ボーンチャイナシリーズ商品一覧
左上より) クリーマー、シュガー、ポット、アメリカンコーヒーカップ&ソーサー、コーヒーカップ&ソーサー、ティーカップ&ソーサー、デミタスカップ&ソーサー、 23cmプレート、19cmプレート、17cmプレート、 19cmボール、15cmボール
シリーズの象徴的なアイテムのポット
長く愛されてきたアメリカンコーヒーカップ
使いやすい15cmボール
新たに追加された3アイテム
2024年、オリジナルデザインをもとに3アイテムを復刻しシリーズに追加いたしました。
硬質陶器からボーンチャイナに素材を変えることで製造方法にも変更が生じるため、オリジナルには無かった高台をボールにつけることになりました。
横から見た時の外観や持った時の手触り、カーブのラインの滑らかさなどオリジナルに近づけるプロセスで何度も試作を重ね完成させました。
左より) 32cmプラター、 23cmサラダボール、 13cmサラダボール
常設展示
作品や空間を通して柳宗理のデザインにおける考え・姿勢を知る 常設展示室です。
〒920-0902 石川県金沢市尾張町2丁目12番1号
開所時間:9:30~17:00
休館日:毎週月曜(但し月曜が祝日のときは開所)
入所料:無料